return

夜の公園を歩いていて猫を見つけた。気侭で良いわね、そう思って見ていたのだけれども果してそうだろうか?と、ふと。だってね、猫って四本足じゃない?それってすごく面倒な事なんじゃないのかなと思った。ものを掴めないしね。それに四本の足で立つのって難しく無いのかしらね、人間なんて2本の足でさえ、あ、右足からだっけ?左足?ってすごく迷ってしまう。それが四本だなんて。考えただけでも目眩がしてきません?いやいや、四本の足の方が安定しているんだよと諭されてもなんだかそうは思えない。でも、その四本足の面倒さをさっ引いても気侭な猫暮しは羨ましいわ。ふう。そうしていると猫はそう気楽でもないんだぜって尻尾をふるっと回してブランコをくぐって行ってしまった。私は見送りながらもなんだか尻尾一本に諭されたようナ気がして腹が立ったけど、寒くなってきたので自動販売機で温かいコーヒーを買って家に帰った。

白い壁
帰り道にある古い大きな図書館には入った事がない。木造に見える3階建てらしきその建物は私にはとても恐ろし気に感じていて、中に入ろう物ならそれは長い口の化物にでも食われてしまうような気がしたからだった。そりゃあ私の想像であって、実際には化物などいやしないのだけれども。ともかくその図書館には立ち寄った事が無かった。ある日。いつものように帰り道を歩いていたらいつもの大きな図書館にはそれよりも大きなビニールの幕がかかっていて、作業着の人間が何人も入ったり出たりしていた。白いヘルメットに緑の十字がかいてあった。背広を着た人間も何人か居て、作業着と背広とで何か話しているいる様子もあった。ひょっとしたら、取り壊されるのかも知れない。だってずいぶんとボロが出ていたもの。シロアリなんかも巣食っていたのかも知れない、大黒柱なんてすっかり食い荒られてたりして。本にもカビが生えていたりして。ああ、でも。中の本を全部取り出すのは大変そう。何千冊もあるのだろうに、何万冊かも知れないのに。トラックで何往復もするのかしらね、それとも建物よりも大きなトラックでいっぺんに運んでしまうのだろうか。完成した白い壁の図書館は地下室に何千万冊も蔵書がありそうでとても強そうだった。